ここで、今回の受賞者、ロバート・ストックのプロフィールとその作風にふれてみよう。『ジェントルメンズ・クォータリー』誌によると、彼は今年30歳、クレイトン・シャツの1デビジョンである"カントリー・ロード"のデザイナーとして働いていたことは前にも書いたが、この会社名でもわかるように、カントリー・ライフを愛する若きジェントルマンである。
独立心が強く、21歳の時に、"カントリー・ブリッチス"という自分の会社を作り、数年後にこれを売り払って、ラルフ・ローレンの下で、"チャップス"という"ポロ"より安いラインのブランドのデザイナーを3年間勤めた。
その後、マンハッタン・インダストリー、イーグル・シャツ・メーカーのスポーツ・ウェアをデザインした後、カントリー・ロードに
移り、そこをやめたのは、これまで述べた通りである。
アメリカのデザイナーには珍しく、安いプライスで勝負しているのが面白い。
この安いプライスといえば、ちょっとしたエピソードがあった。グリーンズ・ブローで、クレイトン・シャツの副社長ステーブン・B・タンガ氏が1着のブルーのスポーツ・ジャケットを指して、いたずらっぽくいったのである。
「この"カントリー・ロード"の上着、リテールでいくらだと思う?」と。
アメリカのデザイナーものは、バカ高いのが普通だから、太田君は「150ドル」といい、私は120?130ドルかと思った。
ところがなんとそれがたったの38ドルだった。
紙面の都合もあるので、「コティ・アワーズ・ノミネイテー(コティ賞受賞候補者)」というゴールデン・シールの貼ってある"カントリー・ロード"のプレス・キッドの中から彼の作品を2〜3点紹介して次に移ろう。