ニューヨーク、7月4日、日曜日。
天候はあいにく快晴というわけにはいかなく、時々太陽が顔を見せるという程度の薄曇りだったが、いつもは静まり返っている日曜日のマンハッタンも、この日ばかりは、朝早く起きた市民たちが、手に手にサンドイッチやカメラや双眼鏡を持ち、バスや地下鉄に乗って、ハドソン川に向かった。
前々から、ニューヨークっ子の話題になっていた、建国記念日の、国際帆船パレードと、国際観艦式を見るためである。
当日の人出は、ニューヨーク市警の調べでは、ざっと700万人、ほぼニューヨークの全人口に匹敵するほどのにぎわいになった。
大きな星条旗をバックにし、大型空母「フォレスタル」に乗ったフォード大統領は、各国の賓客を前にしながら、得意満面だった。
大統領にとっても、そして、このパレードを見に集まった、数多くのニューヨーク市民にとっても、正にこの日は、少し曇ってはいたが「ビューティフル・サンデイ」そのものだった。
たしかに、第3世紀にはいったアメリカは、一頃のベトナム戦争やウォーターゲイト事件の頃とはまったく違った明るさと力強さを取戻した。
ニューヨークの有名メンズ・ショップ<J・プレス>のリチャード・プレス氏の、「景気は昨年のクリスマス頃から、完全に立ち直った。最近では、この7年間のうちで、一番よく、来客数も多い」という言葉を借りるまでなく、目下、上昇に上昇を続けている。
こうして、すべての面に自信を取り戻したアメリカでは、ファッションの面でも、大きく変わろうとしている。つまり、ここ数年間、まったくヨーロッパ一辺倒だった傾向から脱皮して、アメリカ独自のファッションであるトラディショナル・ルックが力強いカムバックを見せ始めているからだ。
しかし、このトラディショナル・ルックは、‘50年代に流行した、アイビー・リーグ・ルックとは多少違っている。<ブリティッシュ・アメリカン>と呼ばれるものがこれである。
まだ、資料も少なく、詳細は伝えにくいが、アメリカでは、これこそ、次の傾向と、ファッション・ジャーナリストもデザイナーも口を揃えていう今日この頃である。
そこで今月号は、可能な限りのデーターを駆使して、このホット・ニュース<ブリティッシュ・アメリカン>の新傾向を追うことにした。