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Shiro Itoh’s Archives-(4)-1
( 1977年「男子専科」8月号より )

(4)アイビー的傾向をニューヨークの広告で紹介する

ニューヨークのロックフェラー・センターに近いヒルトンホテルに泊っての日曜日、朝遅く起きて、1階にあるブック・スタンドで、ニューヨークタイムズの日曜版を買った。
 このニューヨークタイムズの日曜版は、われわれ日本人の概念からすればおよそ新聞というのとはかけ離れているように思える。
 というのは、厚さが優に、4?5センチはあって、ご丁寧なことにその中に、(ニューヨークタイムズ・マガジン)という雑誌と、<ニューヨークタイムズ・ブックレビュー>というのが2冊も、おまけに付いているからだ。
 私が泊っていた4月17日の号は、パート2、セクション6という分類で、さらにこの<ニューヨークタイムズ・マガジン>に『メンズファッションズ』という特集が加えられていた。
 確か、このメンズファッション専門の特集は、年に2回発行されていると記憶している。そして、何しろ、新聞の作るファッション誌なので、内容はホットニュースそのものなのだ。

 朝遅く起きた私は、ブランチと呼ぶ、これまた、いまニューヨークで流行の、日曜日の朝遅い朝食昼食兼用の、ちょっとおごった食事をしながら、行儀は悪いが、この部厚い新聞をテーブルの脇に置いて、『メンズファッションズ』のページをめくるともなく眺めながら、十分にブラックペパーと塩をかけたサニーサイドアップ(日本でいう目玉焼き)を落としそうになりながら、フォークですくい、あぶなっかしい手付きで 口に運んだ。
 どうでもいいことだが、この二つの目玉のサニーサイドアップを落さずに口に運ぶのはとてもむずかしい作業だ。おまけに、左手で、マガジンのページをおさえているのだから‥‥。
「ウッジュ ライク モア コーヒー?」
とピンクのエプロンを掛けた可愛いウエイトレス。
「イエス プリーズ‥‥」
と私。
うすいアメリカンコーヒーは、日本のお茶と同じで、何杯でも飲める。
こんな日曜日のあまり人のいないホテルのレストランでのブランチは楽しい。

ところで、30〜40分も掛って、この雑誌を見ながら、ブランチをしている途中、気が付いたことは、何とまあ、この頃は、ひと頃とは違って、アイビーリーグルック的傾向のファッションの広告が多いことか。アイビー、アイビーと書くと、日本では、<アンアン> <ノンノン>等の女性週刊誌が妙にいじって自分に都合のよいように編集して伝えているので、何かお手軽の、ヤング、それもジャリ族専用のファッションのように誤解されているが、本来はそんなものではなく、もっともっと重厚な、伝統的なものであるのは、読者の皆さんも先刻ご承知の通りだろう。
そこで、気になり出して他の資料を調べてみたら、あるはあるは‥‥というより、アメリカでは、この秋は、ブリティッシュ・ファッションと、アイビーリーグ・ファッション以外は、ファッションにあらず‥‥といったほうがよいのである。
思えば、アイビーリーグルックが全盛を誇ったのは、1957年?62、63年頃であった。その頃生れた人は、 ちょうどいま18?19歳から20歳位、つまり現在のヤングマン、といわれる人たちは、この前期アイビーブームの洗礼を受けていないわけだ。
ブリティッシュルックについては、これまで2〜3度にわたり紹介したことがあるので今月号は、各誌に掲載されている広告の中から、このアイビースピリットの香りの高いもののみをピックアップして紹介していこうと思うのである
   

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