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Shiro Itoh’s Archives-(3)-3
 

<バイセンティニアル>はメンズファッションにどう影響するか
さてそこで、われわれが今考えるべきことは、このような建国200年のお祭り騒ぎが、メンズファッションにどう影響して来るか、という面である。
 ごく大雑把に、私なりに考えた持論は、次のとおりであると思う。

1.アーリー・アメリカン・パターン
 インテリアの世界で<アーリー・アメリカン>というデザインがある。
 どのようなものかというと、直訳して『初期アメリカ調』という意味。つまり、初期のイギリス植民地時代に使われた、かざりの多い、ウィンザー家具に似たものである。
 この<アーリー・アメリカン>のタッチは、しばじは、トラディショナル・ファッションのメンズウエアショップに使われており、重厚だが、何となく明るさもあり、私も好きなインテリアのひとつである。
 メンズファッションの世界にも、アメリカの建国200年を記念して、この当時のモチーフが、図形化され、出て来ることは当然だろう。

その典型的な例として、ロサンゼルスに本拠を置く、<ブライア社>のネクタイを取り上げて、これを説明してみよう。

1)独立戦争の時に<レッド・コート>と呼ばれた英植民地正規軍を相手に、勇敢に戦って、ついにこれを降伏させた、民兵、<ミニットマン>をモチーフにしたもの。この<ミニットマン>は、普段は農民だが非常時には、瞬時にして集まることが出来るように編成されていたのでその名がある。
この先ごめのマスケット銃を持った民兵がジョージ・ワシントンに指揮されて、U・Sアーミーの基礎になったわけだ。

2)アメリカの国鳥として、大統領のシールや、アーミー、ネービーの帽章、階級章などにしばしば登場して来る<グレート・アメリカン・イーグル(アメリカ大鷲)>を図案化したもの。

3)アメリカの政府関係のマークには必ず登場して来て、われわれにもおなじみの<ザ・グレート・シール>。鷲とスターズ&ストライプスの組み合わせである。

4)いまさら説明するまでもないほど 有名な<リバティ・ベル(自由の鐘)>をモチーフにしたもの。
以上はほんの一例だが、このほかに、コロニアル時代、(1700年後半)のクラッシックなパターンや、勲章、国旗、パイオニア精神をテーマにしたプリントのシャツ。これをヒート・プリントしたTシャツなど、探してみればまだまだあるだろう。

2.アウトドアスポーツウエア
 今アラスカのノース・スロープにあるプルードー・ベイでは、かつてのゴールド・ラッシュというにはあまりに科学的だが、同じような熱気につつまれている。
 というのは、この地域に、実に、中東産油国の前埋蔵量をはるかに越す、と推量される1千億バーレルの油田が発見されたからだ。
 エネルギー自立を目指すアメリカは、ここを<最後のフロンティア>というわけで、本格的な掘削と、この油田輸送をする、アラスカ横断、前兆1250キロの、巨大なパイプライン(通称"アラスカン・パイプライン")施設工事に乗り出している。
 ところが、この地は、ご承知のように北極圏内、ちょっとブリザードでも吹こうものなら、氷点下、50?60度はザラである。だから、ここを掘削しているブリティッシュ・ペトロリアム社のオペレーション・センターなど、摂氏零下83度、秒速30メートルの風に耐えられるように立てられているそうである。
 このアラスカン、 パイプラインにかねてから興味を持っていた私は、ニューヨークの有名スポーツ衣料品店<アバークロンビー&フィッチ>に行って、そこのマーチャンダイジング・マネージャー、ピート・オレリー氏に、この店で作った、このパイプライン用のパーカーを見せられた時、まさに一驚した。
 というのはこのパーカー、なるほど、日本のスキー用などとは比較にならないほど大形で、丈も長く、寒風が吹き込まぬようひもで裾をしばるようになっているものだが、それにしても、氷点下60度の戸外での作業に十分耐えられるとのこと。そしてオレリー氏は自慢げに「これがひとつの例ですが、 私の店で売られているアウトドア・スポーツ用のウエアはみな、南はフロリダから、北はアラスカまで、という広大なアメリカの自然のお陰なのですよ!」といった。
 確かに氏の言葉を待つまでもなく、アメリカのアウトドアスポーツウエアは、その種類といい、デザインといい、機能といい、世界一といっていいだろう。
 こんなウエアも、きっと我々のファッションに影響するに違いない。

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