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Shiro Itoh’s Archives-(2)-3

●スラックスにも多様化時代がうかがわれる

メンズウエア誌などには、内倒しの二本タックを扱った日本のテーラーの作るようなスラックスが、サーティーズ(1930年代)のリバイバルとして取りあげられているが、市場には、このようなものはほとんど見られない。
 そこで、よく目につくものをとりあげて見ると、次のようなモデルになろう。

 フレヤースラックス
 若い人たちを中心に、フレヤースラックスはまさに全盛といったところ。
 ニューヨークのJ・F・ケネディ空港についた途端、アメリカでは、若者は、フレヤー以外ははかないのか、と思ったほどだ。
 ウエストは、ワイドループかつき、これに凝った手作り風のバックルをつけたワイドベルトをあしらっているのも特徴。もちろんノータック、腰周りから、ひざまでは、従来のスラックスと同じシルエットで裾口までなだらかに拡がって、大体裾口寸法が26センチ前後、というのがほとんどである。
 もちろん、このようなスラックスは、8〜10ドルラインの二者混(ポリエステル×レーヨン混、又はポリエステル×綿混)で、PP(パーマネント・プレス)加工を ほどこされたものが大半である。
 フレヤースラックスは、あらゆる素材で作られ、ジーン・スタイルのもので、ひざから上が従来のブルージーンパンツになり、裾だけが拡がっている、というのも、キャンパス近くのショップなどにはかなり見られた。
 一方、ファッション紙を飾ったプリントのフレヤースラックスはさすがに売れなかったらしく、バーゲンカウンター商品になっている。

 トラディショナルスラックス
 このようにフレヤースラックスが相当の勢いを占めてくると、逆にトラディショナルスラックスは、ずっと本筋に帰ってくる。
 つまり、第一のベルトレスモデルが激減し、大半がベルトつきになり、しかも安価なスラックスでは、プレ・カフス(あらかじめカフスをつけて仕上げてある)のダブル・カフスがつくようになっている。
 ひと頃のように尻に尾錠のついたものは見当たらないが、脇ポケットも垂直という具合に、すべてがトラディション(伝統)に戻って来たのが 新しい方向だろう。
 ちょうど夏の時期だったので、このモデルには"白"及び"白をベースにした小格子"のものが目立った。

 ストレートレッグスラックス
 東海岸にはほとんど見当たらないが、カリフォルニアには、ここ特有のストレートレッグのスラックスが実に多い。
 極端に裾口が狭く、シルエットはテーバード(先細)、脇ポケットは斜めで、後ろのポケットはブルージーン風にヨークをとり、縫い目の部分にポケットをつけたファーストパック(自動車のファーストパックから出た形)というのがこの代表的モデルで、やはり西部の若い人たちには大変人気があるようである。

 
 
 
( 1969年「男子専科」11月号より )
 

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